オプジーボの副作用について
 〜オプジーボが一番効くガンであるメラノーマやメラニン細胞について〜

 オプジーボ投与による華々しい副作用の一つ一つについて詳しく書くつもりでしたが、実はオプジーボが一番効くガンはメラノーマ(悪性黒色腫)であります。なぜでしょうか?その説明をまずしておきましょう。メラノーマが生ずるメラニン細胞というのはまず何であるか説明しましょう。

 メラニン細胞(melanocyte)は、メラニンという黒色色素を産生する細胞であります。英語でメラノサイトとも呼ばれます。“melano”は「黒い」という意味であり、“cyte”は細胞という意味ですから、黒色細胞とも呼ばれます。チロシナーゼという酵素を持っており、血液からアミノ酸の一つであるチロシンからメラニンを生成します。チロシンというアミノ酸は、芳香族の側鎖を持つアミノ酸であります。人体の毛母基、脂腺、汗腺、真皮、脈絡膜、虹彩、髄膜、子宮小丘などに出現し、遺伝子に障害を与える紫外線から、以上述べた組織の細胞の遺伝子を守っています。表皮内に存在するものを特に表皮メラノサイトといいます。メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)はメラニン細胞のチロシナーゼという酵素を活性化させ、メラニン合成を促進させます。

 それでは、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)はどのようにどこで産生されるのでしょうか?それは下垂体前葉にあるPOMC遺伝子がストレスによって副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が産生されると同時にメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)が作られるのです。なぜ同時に作られるのでしょうか?POMCというのは、英語で“pro opio melano cortin”といい、「プロ・オピオ・メラノ・コルチン」と発音します。POMCのPはプロであり前駆体を意味し、Oはオピオであり、オピオイド(麻薬様)の略であり、人間の体内で作る内因性の麻薬であるエンドルフィンやエンケファリンを意味し、MはMSHの頭文字のMであります。MSHはmelanocyte‐stimulating hormoneの略であり日本語でメラニン細胞刺激ホルモンであります。最後のCは何を意味するのでしょう?コルチコのCであります。というのは、ACTHは英語でadreno-cortico-tropic hormoneといいますがadrenoは副腎の、corticoは皮質の、tropicは刺激性の、hormoneはいうまでもなくホルモンですね。adreno-cortico-tropic hormoneはまとめて日本語で副腎皮質刺激ホルモンですね。副腎皮質を刺激して副腎皮質ホルモンである糖質ホルモン、つまり巷に言われるステロイドホルモンを作らせるのであります。つまり脳の下垂体にあるPOMCは体内で作られる快楽の元となる麻薬である内因性の麻薬であるエンドルフィンを作らせる遺伝子と、メラニン色素を作らせるメラニン細胞刺激ホルモンの遺伝子と、ステロイドホルモンを作らせるACTHの遺伝子の合わせて3つが、一つの同じ遺伝子座に乗っているということを意味します。POMC遺伝子に含まれている上記の3つの遺伝子は、下垂体前葉のACTH産生細胞の遺伝子でコード(暗号)されており、視床下部が放出するCRHによって発現が誘導されると、プロセシングを受けて、ACTHやMSHやエンドルフィンなどに分解されてその作用を示すのです。CRHというのは副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンで、英語で“corticotropin-releasing hormone”といい、ストレスが多い時に、そのストレスを感じ取る視床下部からストレスに耐えるために放出されるホルモンであります。

 この話はものすごく面白い話になるのですが、長いストーリーになるので、ひとまずここで終わっておきます。乞うご期待。



なぜメラノコルチンの話をしたのかお分かりになりますか?それはオプジーボが最もよく効くガンがメラノーマであるからです。抗ガン剤であるオプジーボを研究している人から、たまたま「なぜオプジーボがメラノーマに著効を示すのかという研究をしているが、なぜオポジーボがメラノーマに最も効くのかその答えがわからない」という話を聞いたので、その答えを私が出してあげようと思ったからです。同時にオプジーボが引き起こす副作用が全く理由がわからないともいわれたので私がその答えも出してあげたいと思ったからです。今日はさらに、POMCとACTHとMSH(メラニン細胞刺激ホルモン)とメラノサイトと副腎皮質ホルモンとオプジーボとの複雑な関係を詳しく勉強し直して、最後はなぜオプジーボがあらゆるガンの中でメラノーマに一番効果的であるかを説明しましょう。もちろんこの勉強も私自身の真実を知りたいという欲求から出てきたものです。難しいですがついてきてください。


 まず悪性黒色腫(メラノーマ)が何者であるかを勉強しましょう。太陽光に含まれている紫外線によって、表皮基底層にあるメラニン細胞の遺伝子が傷つけられて、つまりメラニンを作る遺伝子が傷つけられてガン化したものであります。言い換えると、メラニン色素細胞の遺伝子がなければメラノーマは起こらないのです。つまり、表皮基底層にあるメラニン色素のない基底細胞は、メラノーマは生じないのです。いずれにしろ、紫外線によってゲノムにあるメラニンを作る遺伝子に突然変異がおきて、癌原遺伝子が増殖し続けるという機能を獲得し、かつ、ガン抑制遺伝子もこの突然変異によって増殖を抑制する機能を失い、その結果、この2つの突然変異を起こしたメラニン色素細胞だけがガン化するのです。日本人の年間推定発生患者数は1500 〜2000人前後であり、人口10万人に約1.5〜2人の割合であります。ところが白人である欧米人の10万人に約15〜20人であり、圧倒的に白人の方が多いガンであります。いうまでもなく白人はメラニン色素が少ないので、紫外線が直接メラニン色素細胞の遺伝子を突然変異させ、ガン化させるからです。

 それでは、なぜ紫外線が特別にメラニン細胞の遺伝子の原癌遺伝子と癌抑制遺伝子に突然変異を起してメラノーマ(悪性黒色腫)を起すのかを詳しく書きましょう。紫外線については以前、書いたことがありますからここも読んで下さい。

 紫外線は英語でultravioletといい、UVと略します。波長が10 nm~400 nmで可視光線より短くX線より長い見えない電磁波です。可視光線の紫色の外側という意味で紫外線といいます。

 赤外線は熱作用を持っていますが、紫外線は化学的な作用が特徴的なので化学線とも呼ばれます。紫外線の有用な作用として殺菌消毒、ビタミンDの合成、生体に対しての血行や新陳代謝の促進などがあります。紫外線は波長によって分類され、波長 380 nm~200 nm の近紫外線(near UV)、波長 200 nm ~10 nm の遠紫外線(far UV)、波長 121 nm ~10 nmの極紫外線 (extreme UV)に分けられます。近紫外線をさらに UVA (400 nm~315 nm)、UVB(315 nm~280nm)、UVC (280nm 未満) に分けます。

 太陽光の中には、UVA、UVB、UVCの波長の紫外線が含まれていますが、そのうちUVA、UVBはオゾン層を通過し、地表に到達します。UVCは、物質による吸収が著しく、大気中の物質によって吸収されるので通常は大気を通過することができないので、地表に到達する紫外線の99%がUVAであります。人間が、太陽の紫外線に長時間さらされると、皮膚や目や免疫系の細胞の遺伝子を傷つけ急性や慢性の病気やガンを引き起こします。今、上で述べたように紫外線は3種類ありますが、大気を透過しないUVCは、過去ほとんど注意が払われていなかったのですが、高エネルギーであるためUVAやUVBよりはるかに危険であるのです。
 ここで紫外線によりどのようにDNAが損傷されるのかを説明と且つ「チミン二量体の生成によるDNA損傷」の図を掲示します。

チミン二量体の生成によるDNA損傷

 上の図にDNAの二重鎖を塩基のチミンがUVCに含まれている光子のエネルギーによって黄色のチミンに対応するアデニンとの結びつきが断絶され切り外されて残った2個の黄色のチミン同士が結びついたチミンの二量体が見えますね。その結果、DNAが損傷してしまった状態をご理解下さい。自分自身の勉強の為にチミン二量体の生成によるDNA損傷についてさらに詳しく以下に書きます。

 紫外線や放射線の照射を受けると核酸が損傷します。DNA中には4種の核酸塩基であるチミン、アデニン、シトシン、グアニンがあります。チミンが隣接している部分では、紫外線や放射線により上の図に示したようにチミンの光による光二量体、英語でPhotodimers (フォトダイマー)ができてしまい、皮膚がんの原因となります。もちろん、生体にはこのようなDNAに生じた損傷を修理する機能が備わっているので、紫外線や放射線の照射を受けてもすべてがガンになるわけではないのです。核酸塩基のうち、光二量体(フォトダイマー)を生成するのはチミン、シトシンなどのピリミジン塩基で、アデニン、グアニンなどのプリン塩基の光に対する反応性は低いのです。チミン、シトシンなどのピリミジン塩基が二量体になるのをピリミジン二量体と呼びます。DNAの遺伝子にチミン二量体やシトシン二量体ができると遺伝子の突然変異が起こりガンになるのです。特に紫外線に最も関わりがあるメラニン色素細胞の遺伝子が突然変異が起こりガン化するとメラノーマになるのです。言うまでもなく、肌の白い白人が圧倒的にメラノーマが多いのも説明しましたね。


 上の図にチミン、シトシンのピリミジン塩基のいずれかが二量体を形成し、且つ細胞が持っている制限酵素によって障害部位を切り出し、新たに正常なピリミジン塩基を複製しチミンに対してはアデニン、シトシンに対してはグアニンと結合して正常なDNAが作り上げられる様子が描かれています。細胞のDNAに吸収されたUVBは、上の図に示したようにDNA鎖の隣同士のピリミジン塩基を結合させて、赤い色のピリミジン二量体という異常な傷をDNAに引き起こします。このDNAに損傷ができるとDNAの複製がうまくできなくなるので、細胞にはこの傷を取り除く仕組みがあり、これをヌクレオチド除去修復能といいます。この結果傷の部分が取り除かれ、元通り正しい塩基配列が作られる様子が上の図でお解かりになるでしょう。アデニンとグアニンの2つをプリン塩基と呼ばれるのはご存知ですね。必ず、ピリミジン塩基とプリン塩基が結びつきます。しかも必ず、ピリミジン塩基のチミンに対してはプリン塩基のアデニンが結びつき、ピリミジン塩基のシトシンに対してはプリン塩基のグアニンが結びつくことも覚えておいて下さい。ヌクレオチド除去修復能という説明がありましたが、ヌクレオチドとはチミン、シトシン、アデニン、グアニンという4つの塩基の1つとそれに五炭糖と1つのリン酸が結び付いた物をいいます。上の図でいえば、1本の黒い線がヌクレオチドです。このヌクレオチドが30億対向かい合って繋がっているのが遺伝子(染色体)の集まりなのであります。

 2種類の日焼けであるサンバーンとサンタンはどうして起こるのかについてもう一度原点に戻って説明しましょう。まず日焼けの原因はすでに述べたようにUVBですが、最初にサンバーンが生じ、さらにサンバーンがより深刻なサンタンになったと考えて下さい。ここで皮膚の表皮の成り立ちについて勉強しましょう。

 皮膚は表皮、真皮の二層から構成され、その下に皮下脂肪組織があります。表皮は数層の細胞からなる薄い組織で、表面から、角質層、顆粒層、有棘細胞層、基底細胞層で構成されます。表皮の元になる基底細胞層は1層の細胞層で、この細胞が分裂して有棘細胞層になり、それがさらに顆粒細胞層になり、さらに最後は角質細胞層へと上方へ移動していきます。また、基底細胞層の間にはところどころメラノサイトが散在し、紫外線から皮膚を守る為にメラニン色素を産生します。有棘細胞層は数層の細胞層からなり表皮の大部分を占めます。ついでに言えば、真皮はコラーゲンなどの繊維組織からなり、微小な血管網や神経があります。また、皮膚の毛根や脂腺、汗腺や汗管などの皮膚の付属器官も真皮から表皮にかけて存在しています。

 4層の表皮細胞は基底細胞から分裂して最後は角質細胞になるサイクルを28日周期で行っています。従って、仮に表皮の細胞に紫外線や放射線によってDNAが損傷された細胞もも下から上へと押し上げられて最後は皮膚の垢になりますから、いわゆる表皮細胞から生まれるガンは少ないのです。もちろんメラニン細胞は表皮に住んでいる細胞ですが、表皮細胞を作る4つの細胞ではない上に、日本人は黄色人種ですから白人と違って紫外線からDNAの損傷を守るように進化したのでメラノーマ(悪性黒色腫)も元々少ないのです。

 日本語の「日焼け」という言葉は強い熱い直射日光と紫外線を皮膚に浴びることにより、皮膚が赤く炎症を起こす急性症状(サンバーン sunburn)と、その後黒くなるサンタン(sun tanning)の2つの意味があります。サンタンはメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)が刺激され、メラニンを大量に作った結果です。メラニン色素は大量の紫外線を非常によく吸収し、DNAが傷つかないようにしてくれます。サンタンになることはメラニン色素を増やす事ですから次回の紫外線暴露に対する予備的な防御機構ともいえます。しかしながら、大事なことは色が黒くなるサンタンは皮膚が傷害された結果起こる反応ですから、色を黒くするために紫外線をわざわざ浴びる必要はないのです。

 UVCは最も波長が短くエネルギーが強すぎて人体にとって危険ですが、大気中で減衰し、ほとんど地上には届かないのです。波長が短いUVB、UVCは、皮膚ガンのリスクを伴います。専門的な話をすると、生物のDNAは吸収スペクトルが 250nm 近辺に存在しています。DNAに紫外線が照射されるとDNAを構成する原子が励起され、DNA分子を不安定にしてDNAの二重螺旋構造を構成する「はしご」といわれる水素結合を切り離して隣接する塩基同士でシトシンとシトシン、チミンとチミン、ウラシルとウラシル等の二量体を形成することはすでに述べました。この二量体が遺伝子中のコドン(アミノ酸の暗号)を乱れさせ、DNA配列の不正配列、複製の中断、ギャップの生成(ガン遺伝子になりやすくなる)、複製や転写のミスを発生させます。この結果、正常に遺伝子が機能しなくなり突然変異が引き起こされガン細胞になったりするのです。 紫外線による突然変異は、バクテリアにおいて簡単に観察されます。これは、オゾンホールやオゾン層が破壊されるとUVCが地上に届きやすくなり人体の遺伝子がガン化するので問題になっているのです。

 どうして、10万年以上前に生まれたミトコンドリア・イブが現生人類の祖先であるにもかかわらず、皮膚の色が人種によって異なったのはなぜでしょう?人類は太陽がなければ生きていけません。太陽光に含まれている紫外線に対する生体の防御反応として、人間の体では茶色の色素のメラニンを分泌して皮膚表面に沈着させます。その結果、日焼けが起こりますが、それ以上の紫外線の皮膚組織の深部への侵入を防ぎ、より深い皮膚組織へのダメージを軽減させようとします。人類の祖先であるミトコンドリア・イブは地球上を赤道から南北移動し移住し尽くしたのは3万5千年前でした。赤道地域の太陽光が強い所では黒色色素を最大限メラニン色素に作らせ、太陽光の少ない北極、南極に近い地域に移住した現生人類は最小限メラニン色素を減らして、太陽光をできる限り吸収しようとしたのです。その結果、表皮に沈着するメラニン色素の量が住む場所によって長い時間をかけて皮膚の違いによる人種の区別をもたらしたのです。しかも、人間の祖先は全く同一の遺伝子から出発したにもかかわらず、皮膚が黒いと言うだけで差別されたり、皮膚が白いだけで優越感を感じたりする人間の違いをもたらしたのです。

 紫外線はDNAに障害を与えるのみならず、人体のたんぱく質を変性させるため、皮膚に紫外線を無理矢理照射され続けるとコラーゲン繊維および弾性繊維にダメージを与えて皮膚を老化させます。特に波長の長いUVAの皮膚の加齢は、波長が長いのでUVBより深く皮膚の中に浸透し、皮膚の張りを保つ弾性繊維を徐々に破壊する原因となっています。また、一度破壊された弾性繊維は回復しないのです。UVAはUVBと比べて、大気中での減衰が少なく、UVBの減少する冬期や朝夕でも比較的多く降り注いでいます。日焼けのうちサンバーンを引き起こすことはないがサンタンを引き起こします。日焼けサロンで照射されるのは、主にUVAであるので、その際に皮膚の老化を加速していることも知っておいて下さい。

 さあ、本論のなぜオプジーボがメラノーマ(悪性黒色腫)を治しやすいかの論文に戻りましょう。プロ-オピオ-メラノ-コルチン(POMC)は、下垂体のプレ-プロ-オピオ-メラノ-コルチン(pre-POMC)から作られます。POMCというタンパクは、pre-POMC遺伝子が翻訳されてpre-POMCタンパクが作られた後、そのタンパクがプロセッシング(加工)されてPOMCタンパクとなります。このPOMCは、主に下垂体の前葉と中葉で作られます。pre-POMCタンパクがプロセッシング(加工)によってPOMCを作る組織の細胞の全てを列記しておきましょう。脳下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、下垂体中葉のメラニン細胞刺激ホルモン産生細胞、視床下部弓状核にある約3000個の神経細胞、視床下部背内側核および脳幹にある少数の細胞、皮膚のメラニン細胞などでpre-POMCタンパクがプロセッシング(加工)されてPOMCタンパクになります。

 POMCの遺伝子をタンパクに翻訳した後、そのタンパクを切断するプロセッシング(加工)の仕方は、組織によって異なります。pre-POMCは、まずスブチリシン(サブチリシン)様プロ-ホルモン変換酵素による切断を経由して組織特異的なタンパクを作った後、つまり遺伝子を翻訳後のプロセッシング(加工)を受けます。スブチリシン(サブチリシン)様プロ-ホルモン変換酵素は、前駆ホルモンをホルモンに変換する酵素と考えておいてください。POMCのプロセッシングにはグリコシル化、アセチル化、タンパク質の切断による加工の仕方があります。ただし、タンパク質分解酵素が切断する箇所は組織特異的であります。例えば、POMCが下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン産生細胞においてプロセッシング(加工)されて産生されると、4ヶ所切断されて副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やβ-リポトロピンなどになります。POMC内のタンパク全体としては、プロセッシング(加工)されるのはこの他に少なくとも8つの切断可能な箇所があり、組織の違いや変換酵素の違いによって、下に示す最大10の活性ペプチド(タンパク質)が産生されます。

 1)N-Terminal Peptide of Pro-opio-melano-cortin(NPPまたはpro-γ-MSH)、2)γ-メラニン細胞刺激ホルモン (γ-MSH)、3)副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)、4)α-メラニン細胞刺激ホルモン (α-MSH)、5)Corticotropin-like Intermediate Peptide(CLIP)、6)β-リポトロピンホルモン(β-LPH)、7)γ-リポトロピンホルモン(γ-LPH)、8)β-メラニン細胞刺激ホルモン (β-MSH)、9)β-エンドルフィン、10)メチオニン-エンケファリン
 これら10種類のホルモンは、生きるために極めて大事なホルモンであります。3)と5)は戦いのホルモンであり、9)と10)は、戦った後の勝利を味わうホルモンであります。ところが、1)と2)と4)は、メラニンに関わるものですが、なぜ皮膚を黒くすることに関わるホルモンがそんなに大切なのでしょうか?それは以前述べたように、太陽の紫外線から身を守るためであります。それでは6)と7)のリポトロピンは、どんな働きが生命活動にとって重要なのでしょうか?勉強してみましょう。

 まずβリポトロピンホルモン(β-Lipotropin)についてでありますが、βリポトロピンホルモンは、はじめはメラニン(黒色色素)を産生するメラノサイト(メラニン細胞)を刺激することが知られていました。ところがその後、脂肪を分解したりステロイドを産生するために脂肪を動員する機能もあることがわかっておりますが、詳細は今のところ不明です。βリポトロピンホルモンは、さらにより小さなペプチドであるγリポトロピンホルモンとβ-MSHとβエンドルフィンに分割されます。実はβリポトロピンホルモンは、下垂体前葉で作られる主要なアヘン様物質であります。しかもβリポトロピンホルモンは代謝されてエンドルフィンになります。エンドルフィンというのは、内因性のモルヒネ様ペプチドであります。内因性というのは、人体の内で(中で)作られるという意味であります。エンドルフィンの「エンド」とは「内の」という意味です。エンドルフィンはご存知の様に鎮痛作用や、人間の気分や挙動に大きく影響を与えるものです。

 それではγリポトロピンホルモンはなんでしょうか?先ほど述べたように、βリポトロピンホルモンの断片であります。さらにβリポトロピンホルモンは分割されて、β-melanocyte stimulating hormone (β-MSH)になります。結局のところ、6)β-リポトロピンホルモン(β-LPH)も、7)γ-リポトロピンホルモン(γ-LPH)も、メラニン色素産生に関わっているわけですから、8万年前にアフリカでホモ・サピエンスの先祖であるミトコンドリア・イブが地球全体に広がる時に、太陽の紫外線がいかに大きな悪影響を人体に与えたかがわかります。メラニンの最も重要な役割は、紫外線から皮膚やメラノサイトの遺伝子を防御することであり、日光障害や悪性腫瘍(メラノーマ)の発生を防ぎます。したがって肌の黒い人種であるほど、紫外線による皮膚癌の発生は少ないのは言うまでもないことです。逆に肌の白い欧米人にメラノーマが多いのは当然なのです。このような紫外線の悪影響から逃れるために、赤道直下の人たちはメラニン色素を大量に作ることによって環境に適応し、黒人にならざるを得なかったのです。ここでメラニン細胞について少し復習しておきましょう。

 メラニン細胞は、メラニンを産生する細胞であり、英語で“melanocyte”であり、メラノサイトと呼ばれます。チロシナーゼという酵素を持っており、血液中のアミノ酸であるチロシンからメラニンが生成されます。毛母基、脂腺、汗腺、真皮、表皮、目の脈絡膜や虹彩、神経の髄膜、子宮小丘などにメラノサイトが見られます。ちなみに子宮小丘は、英語で“caruncle”といいます。反芻類の動物の子宮内膜表面にみられる半球状の隆起物で、宮阜、小阜とも呼ばれます。この構造は反芻類に特有であり、この部分に脈絡膜絨毛が侵入して絨毛が結合し胎盤を形成します。表面には多くのメラニン細胞が存在しています。牛では子宮小丘は80~120個、羊で80~96個、山羊で160~180個存在します。なぜこんな場所にメラニン細胞があるのでしょうか?子を出産するまでに太陽の紫外線からの悪影響から逃れるためなのでしょうか?おそらく白人や羊や山羊は皮膚が白いので、紫外線が体内にまで入り込んで胎児の遺伝子に悪影響を及ぼさないために、多くのメラニン細胞を有色人種よりも体内にも持っているのです。

 皮膚の表皮内に存在するメラニン細胞のことを特に表皮メラノサイトと呼びます。表皮メラノサイトにはメラニン細胞刺激ホルモン(Melanocyte stimulating hormone、略してMSH)が多くありますが、メラニン細胞の酵素のチロシナーゼを活性化させて、メラニン合成を促進し、皮膚を紫外線から守っていることは何回も書きました。

 さて、下垂体におけるPOMC遺伝子の発現は、転写因子であるTpitとPitx1によって制御されています。視床下部ホルモンであるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)は、下垂体ACTH産生細胞に作用し、PKA活性を増加させます。ちなみにPKAは、プロテインキナーゼA(Protein kinase A)であり、タンパク質分子にリン酸基を付ける酵素であります。キナーゼという言葉がつく酵素は全て、分子にリン酸を付着させる仕事をします。L-型電位依存性カルシウムチャネルを介して、カルシウムイオンの流入を高めることによって、POMC遺伝子の転写が促進されてPOMCタンパクが作られます。POMC遺伝子の転写は,グルココルチコイドによって抑制されます。それは、グルココルチコイド(糖質コルチコイド)が多くなると、視床下部は作る必要がないと察知し、CRHの遺伝子をOFFにしてしまうためです。CRHの働きがなくなると、糖質コルチコイドが副腎皮質で作られないことはご存知ですね。POMC遺伝子は、下垂体のみならず、脳、消化管、精巣、卵巣や皮膚などの様々な組織において発現し,産生されたPOMC分子はプロセッシングによりメラノコルチン分子に加工されることも既に述べました。

 色々書いてきましたが、要するにストレスが多くなればなるほど、このストレスを感知した脳の視床下部は、ステロイドホルモンを作らせてストレスに耐えさせます。そのためにまず視床下部はCRHを作り、下垂体にACTHを作らせます。ACTHを作らせるということは、POMCというメラノコルチンというタンパクをどんどん作らせます。つまりACTHを作ることと、MSHを作るということは同義語ですね。上で説明したことは、まさにストレスがMSHをどんどん作らせて、メラニン色素をメラノサイトに大量に作らせることになりますね。と同時に、ACTHによって副腎皮質ホルモンがますます作られ続けます。

 いうまでもなく、免疫がACTHの命令によって副腎で作らせる副腎皮質ホルモンによって抑制され続け、誰もが既に感染しているあの憎きヘルペス8種類が潜伏感染から増殖感染に変わり、表皮のメラノサイト(メラニン色素細胞)から様々な表皮細胞へとどんどん感染していきます。表皮には大量のメラノサイトが存在しているので、ますますMSHによってメラノサイトはメラニンを作り続けます。既に悪性黒色腫になっている細胞も同時に大量にメラニン色素を作り続けヘルペスが感染していきます。悪性黒色腫になってしまうということは、メラニン色素を作る遺伝子がガン化し、どんどん多くのメラニン色素を作るのみならず、メラノーマになった細胞がさらに増えるということを意味します。言い換えると、悪性化したメラノサイトは増殖することが仕事ですから、否が応でもどんどん増えると同時に、ACTHによって免疫が落ちれば落ちるほどヘルペスウイルスも負けじとばかりそれ以上に増えていき、隣接する増えた悪性メラノサイトに好きなだけ感染していくのです。

 元来、いかなるガンでもストレスが極めて大きなファクターになっていることは知られていることです。ましてやガンになった人は、人生の中で最も大きなストレスにさらされている人たちであります。このストレスに耐えるために、どんどんACTHを作ると同時に、MSHを作り続けます。ステロイドホルモンを作る時には、ストレスを感知した脳の視床下部は、CRHが刺激されてACTHを作ると同時に、MSHも作られます。悪性黒色種(メラノーマ)のようなガンになる人は全て、元来ストレスが強い人がなるものなので、免疫が既に十分すぎるほどに落ちすぎているので、ヘルペスウイルスもあらゆる細胞に既に入り込んでいることもご理解できますね。

 メラノーマになって、ガン治療が始まります。色々な免疫を抑える抗ガン剤を始め、化学療法、放射線療法が効かないということで、最後の手段としてオプジーボの登場となります。既に書いたようにオプジーボは、単にPDL-1を持ったガン細胞がキラーT細胞が持っているPD-1にひっつかせないようにするのみならず、ヘルペスとの平和条約の証拠であるPD-1の働きを止めヘルペスとの平和条約を破る仕事をも知らぬ間にしてしまいます。ヘルペスと戦って勝てないということを人体の免疫は何十億年前に知ったのです。人為的に免疫を抑制しない限りヘルペスは潜伏感染を続けるだけで何も悪い事はしない事を思い知ったのです。ちょうど化学物質に対しては積極的免疫寛容、言い換えると、自然後天的免疫寛容を起して共存できるようにヘルペスに対しては消極的免疫寛容を言い換えると、不自然後天的免疫寛容を起して共存するようになったのです。この共存の印がPD-1であるのです。

 ところがオプジーボはPD-1に対する抗体ですから、PD-1を持っているあらゆる免疫細胞にこのオプジーボは結合してしまいます。すると一時的に全てのPD-1を持っている免疫細胞の働きもなくなってしまいます。PD-1の働きがない間、ヘルペスウイルスがメラノーマの細胞のみならず、あらゆる細胞で増殖し続けます。オプジーボは高価な薬なので、ガン病巣が小さくなってオプジーボ投与をやめてしまうと、俄然免疫細胞の働きが戻ってきます。その結果、皆さんご存知の既に書いたあの一生治らないようなオプジーボの副作用が出現してくるのです。このメカニズムは極めて難しいので、既に書いた上の理論を何回も繰り返して読んでください。ところが、この理論はPD-1とPDL-1の関係をもう少し詳しく説明しておかないと頭の良い理論家に反論される部分があるのでPD-1とPDL-1の意味付けを勉強しましょう。というのは、PD-1がどのようにヘルペスとの戦いを回避しているかという話を書かなければ必ず反論されるということはわかっています。

今日はここまで。2019/7/17

 PD-1はチェックポイント因子として免疫の働きを抑える副刺激受容体として生まれたのです。この副刺激受容体というのは、T細胞の受容体(TCR)が主たる受容体ですから、主要な受容体に対する二次的な副刺激を受け取る受容体として名付けられたのです。本当は以前は共刺激受容体と言われていたこともあります。しかし、刺激という言葉は、興奮して何か活動的な働きをしでかすという意味合いが強いですが、PD-1は刺激をもらって興奮するどころか働きをなくすために作られた受容体ですから、本当はPD-1は副抑制受容体というべきものなのです。

 それではPD-1は、免疫の働きをいかに抑え、かつ何故免疫の働きを抑制する必要があるのかについて、誰も正しい答えを出していないのです。さぁ、ここで私の出番となりました。大体がチェックポイント因子という曖昧な言い方が愚かな人心を迷わせる言葉です。チェックポイント因子というのは、正しくは免疫阻止因子と言えばいいだけなのです。しかもPD-1のPDの英語は、“programmed death”の略語であり、アポトーシス、つまり自殺という意味ですから、ますますPD-1の本来の働きからかけ離れた英語が最初に作られたのです。はじめから、PD-1の意味が理解されていなかったので、仕方のないことですね。こんな例は、医学のあらゆる研究分野で見られる出来事ですね。

 ところが、例のごとくPD-1は免疫阻止因子としての働きを持っているのは、自己免疫疾患を起こさないためであると、免疫学者は口を揃えていうのです。こんな馬鹿げた答えはないのです。今私は、まさに自己免疫疾患はないという論陣を張って、自己免疫疾患がない根拠がありすぎるので、「自己免疫疾患はない」という論文がpart.1からpart.4まで、ますます増えていくのです。抗ガン剤であるオプジーボとPD-1をダシにして、自己免疫疾患はないという答えを出してあげたいのです。

 自己免疫疾患がないという新たなる一つの答えは、それでは自己免疫疾患がないとすれば、自己免疫疾患という病気は一体何であり、どのようにして起こるのかという説明を論理的にできれば、自己免疫疾患はないという堂々とした答えの一つになるのです。いつも言っているように、自己免疫疾患は、ほとんどすべてが免疫とヘルペスとの戦いによって生じるものであるのです。PD-1の正しい定義は、免疫が進化の中で積極的にヘルペスとの戦いを止めさせるために免疫細胞のすべてに持たせたレセプターであります。特に活性化した免疫細胞に持たせたのです。何によって活性化したと思いますか?ひとたび人体に住み着いたヘルペスと二度と戦うことをやめさせようとしたのです。それでは何故、ヘルペスとの戦いをやめたほうが免疫のためになるのでしょうか?免疫というのはそもそも、病原体が人体に侵入した時に、人体を守るために生まれました。ヘルペスは病原体の一つであるにも関わらず、なぜ彼らと戦うことを止めるためにPD-1を作ったのでしょうか?

 答えは簡単です。免疫がヘルペスと戦っても、人体には得にならないからです。戦えば戦うほど、人体の細胞が、つまり細胞から成り立っている人体が傷つくだけであるからです。傷つくだけでなぜ免疫はヘルペスウイルスを殺しきれないのでしょうか?簡単に言えば、ヘルペスウイルスはいかなる優れた免疫の働きを持ってしても、絶対に殺しきれない地上最高の優れた生き残りの戦略を持っているからです。それでもウイルスですから、ウイルスは人体の細胞の中でしか生き続けられません。

 ここで、ウイルスは細胞とどう違うかを原点に戻って勉強してみましょう。まずウイルスとは何かから始めます。ウイルスは人間のように細胞を構成単位とせず、自己増殖はできませんが、遺伝子は持っています。細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでいるので、ウイルスは生物ではないとされています。

 ウイルス(virus)は、それ自身単独では増殖できず、他の生物の細胞内に感染して初めて自己を複製でき、増殖できます。ウイルスのこのような性質を、偏性細胞内寄生性と呼びます。ウイルスは、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からできています。また、一般的な生物の細胞が2分裂によって2nで対数的に数を増やす指数増殖(対数増殖ともいいます)に対し、ウイルスは1つの粒子が、感染した宿主細胞内で一気に数を増やして放出(一段階増殖)します。また感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)があります。ウイルスは、自分自身でエネルギーを産生できず、代謝系も持たず、単独では増殖できないので、寄生している他生物の細胞が持っているエネルギー通貨であるATPを利用したときのみ増殖できます。

 ウイルスが唯一できることは、他の生物の細胞の遺伝子の中にウイルスの遺伝子を入れる事です。ところが厳密には自らの遺伝子を入れる能力も持っておらず、ただ細胞が正常な遺伝子と判別できる細胞の遺伝子の中にウイルスの遺伝子を取り込んで、ウイルスタンパクを増産してしまうのです。ウイルスが持っている遺伝子には、自分の遺伝子を複製するための酵素や、宿主細胞に吸着、侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされています。 ウイルスが細胞に感染すると、ウイルスのゲノムはnucleocapsid(タンパク質と核酸)の形で核に移行します。nucleocapsidは、日本語でヌクレオカプシドと読み、ウイルスの核酸 (DNAあるいはRNA)と核酸を包むタンパク質(カプシド)のことです。細胞に感染したウイルスはさっそく増殖しようとします。ウイルスは基本的には今のべたタンパク質と核酸の2つの要素から成り立っている粒子であるため、増殖するために2つの仕事をする必要があります。1つがタンパク質の合成であり、2つめが核酸の複製です。細胞の核の中に入り込んだウイルス遺伝子は、まず細胞の染色体に入り込み、ウイルスmRNAを産生し、そのmRNAによって、カプソマーなどのウイルス独自のタンパク質が大量に細胞の核で合成されます。

 一方、ウイルス核酸は宿主細胞の核酸とは性質的に異なる点が多いために、娘ウイルスの作成のために大量にウイルスによって複製されます。別々に大量に生産された核酸とタンパク質を、その後、細胞質で組み立てるという方式で行われるのです。ところがその複製は宿主の持つ酵素だけではまかなえないため、ウイルスが独自に作るDNAポリメラーゼや、RNAポリメラーゼなどの酵素が、転写、複製に使われます。このDNAポリメラーゼの働きを阻害するのが、抗ヘルペス剤であるアシクロビルです。

 8種類のヘルペスウイルスは、大体100個前後の遺伝子を持っています(人間は22000個)。例外的にサイトメガロウイルスだけが200個以上の遺伝子を持っています。もちろん遺伝子はタンパクを作らせるので、人間の免疫もこのタンパクを異物と認識して殺すことができるのでありますが、それ以上に人間の免疫よりも優れた戦略を進化させたので、とりわけエピソームという形で人体の細胞に潜伏感染できるようになりました。潜伏感染したヘルペスウイルスを人間の免疫は見つけ出すこともできないのです。ところが人間の免疫が下がると、潜伏感染から増殖感染に移り、何千個のヘルペスウイルス粒子(ビリオン)を作る時に、人間に害を及ぼすことになるのです。一つは、増殖のために利用した細胞を殺して、新たなる細胞へと感染するのです。この細胞死によって人体は大迷惑を受けます。さらに何千個もウイルスを複製する時に必要なタンパクを作らざるを得ません。2つめは、大量のタンパクを作る時に、免疫に認識されて抗体を作ったり、ヘルペスウイルスを認識するキラーT細胞によって、細胞もろとも殺される時に、炎症が起こることがあります。3つめは、抗体ができればADCC(こちらを読んでください。)によって、細胞もろとも殺されると、必要な細胞が欠如することがあります。最後の4つめは、ヘルペスウイルスの一部には、感染した細胞を不死化したり、がん化したりするものが存在します。その代表がEBウイルスであります。

 この4つの免疫に関わる働きによって、人体の細胞は障害を受けます。ヘルペス以外のウイルスであれば、この4つの免疫の働きによって必ずウイルスを殺して、人体から駆逐することができますが、免疫が正常である限りは、これを察知したヘルペスウイルスは潜伏感染を続けるのです。言い換えると、ヘルペスは増殖をする時には、急性感染を呈し、潜伏感染している時には、いわば慢性感染の状態になっています。つまりヘルペスは一度人体に侵入すると、神経細胞をはじめ、あらゆる細胞に侵入してしまい、急性感染を起こすか、慢性感染を起こすか、どちらかの形で、人間が死ぬまで人体に住み続けるのです。人間の免疫としては急性感染で、自己の細胞を殺すよりも、できる限りステロイドホルモンを人体が作らないようにして、潜伏感染という慢性感染にさせ続けるのとどちらが人体にとって良いのかを判断した結果が免疫細胞にPD-1を作らせた出発点であるのです。自分の細胞を自分の免疫で殺させないためにPD-1を作ったので、PD-1は自己免疫疾患をなくすために作ったと言えるかもしれませんね!アッハッハ!

 さらにPD-L1はなんのために免疫は進化して作らせたのでしょうか?活性化したキラーT細胞に作られたPD-1は、最初に述べたように、ヘルペスとの無駄な戦いをしないための平和条約であるにも関わらず、ガンが作ったPD-L1はPD-1と結びつくことによってヘルペスとの休戦条約を破って、ヘルペスの戦いが始まると同時に、他方、ガン細胞の戦いは休戦となってしまったのです。

今日はここまでです。2019/07/18

 ところがガン細胞を殺すのはガン細胞の抗原を認識したキラーT細胞ですから、オプジーボを使っている間は、確かにメラノーマの特異的な抗原を認識したメラノーマを殺すと同時にヘルペスウイルスが増殖したメラノーマも殺していることになるのです。オプジーボをやめると、免疫を抑えられたPD-1のレセプターを持っている様々な免疫細胞が復活しだします。しかもヘルペスに対する免疫抑制剤であるオプジーボがなくなると、これらの免疫細胞がオプジーボ離脱のために、ちょうどステロイドを離脱した時と同じように、激しい免疫のリバウンド現象が起き、今度はヘルペスウイルス感染細胞であるメラノーマの残りの細胞を、免疫の力を回復した様々な免疫細胞が殺しにかかります。この時の免疫の敵はガン細胞ではなくて、ヘルペスウイルス感染悪性細胞なのです。その結果、二重の効果を発揮することによって、オプジーボが見かけ上はメラノーマに著効という結果を生み出すのです。この理屈がわかりますか???

 次回ですが、オプジーボを投与することによって、逆の現象が起こすことがあります。それは結核にかかったマウスがオプジーボを投与することによって即死することがあるという現象です。結核やライ病などの治りにくい病気も人間の免疫を回避するシステムを持っているのです。しかしながら、その回避システムはヘルペスウイルスとは全く異なるのです。この問題についても次回は考察するつもりです。乞うご期待。

2019/02/21